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サトウ ヒデキ テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)
テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)

ヒデキのゆるゆる渚歩記/ep0 -海岸ミュージアム-

2019/08/21

- 漂着物に想いを寄せて -

梅雨明けの湘南・茅ヶ崎の浜辺、台風接近で海は少々濁り気味

プロローグ

ザザザーッ…    シュワワワーッ…    ザザザーッ…    シュワワワーッ…
水平線の遠い彼方から、途切れることなく渚へと打ち寄せて、砂浜の緩いスロープを這い上がる大波、小波。
寄せては戻り、戻っては寄せるといった繰り返しを太古の昔から延々と続けてきました。
その絶えることのない自然の営みは思いもよらぬモノを渚に運び、そしてそこに置いてゆきます。
柳田國男が伊良湖岬での話しを島崎藤村に語り、後に有名な詩となる浜に流れ着いた“椰子の実”もそのひとつ。
そんな ”漂着物” のお話しです。
 

空気が澄んだ冬の風景、箱根山々と白い頂の富士山を望む

 

四季を通しての渚歩き

私が住む湘南・茅ヶ崎の海辺にも、そんな波や潮流が運んできたさまざまな ”漂着物” が辿り着きます。
週末は、ほぼ毎週のように海岸散歩を目的に地元の海辺へと足を運びます。"父離れ"した高校生と中学生の息子たちはもう一緒に遊んでくれないお年頃なので (なんとカミさんも・涙) いつも単独行動です。
散歩の目的は、もちろん海辺の清々しい景色や移ろいゆく季節を肌で感じるといった情緒的な楽しみもありますが、冒頭でお伝えした"漂着物との出逢い"があるから、一年を通して飽きずに海辺へと通ってしまうのです。
 

漂着物は玉石混淆。自然物も人工物もゴミもお宝も一緒くたに辿り着く
 

  

渚はさながら“市場”、そして “ミュージアム”

打ち寄せる波は、さまざまな漂流物を渚にデリバリーするだけでなく、運んできたそれらに砂を被せて埋もれさせたり、また海へと連れ戻したりすることで、浜辺の漂着物は絶えず入れ替わります。さながら多彩な商品を陳列する市場(マーケット)の如きです。市場歩きが大好きな私にとって、こんな楽しい場所はありません。しかも、珍しいものや気に入ったものが見つかったときは無料でお持ち帰りすることができるのも渚歩きの楽しみのひとつです。

そして、自然が作った “ミュージアム” であるとも言えます。 漂着物から海の生き物やヒトの文化を学べる場ともなります。 水族館をはじめとするミュージアムや企業PR館の展示を手がける自分にとって、そのほとんどが貴重な実物であることも魅力的であり、ジャンルを問わないコレクションには好奇心を掻き立てられます。

自然環境の一部である渚は、季節ごとの“旬”が見られるところも市場やミュージアムの季節展示と似ています。 
何シーズンも通っていると、漂着物から季節を感じることが多々あります。小さな貝殻や千切れた海藻が浜を覆う光景に春の到来を感じ、カツオノエボシ※1の漂着で夏の訪れが近いことを知るといった具合です。秋になると1mを超えるサメ※2などの大型の海洋生物が海岸に転がっていて、ビックリさせられることもしばしばです。

※1. カツオの到来に合わせて海流に乗ってやってきます。烏帽子に似た姿が名前の由来だとか。長い触手に刺されると危険な猛毒クラゲで"電気クラゲ"の異名を持ちます。

※2. 浜で見かけるのはドチザメが多く、最大1.5m程になるそうです。夏から秋にかけて釣り人の竿にかかることがあるので、もしかすると釣り人に打ち捨てられたものかもしれません。
 

海洋生物との出会い、カツオノエボシ・ウミスズメ(ハコフグの仲間)・ドチザメ

 
 

“偶然の出逢い”を楽しむ

私が通う茅ヶ崎の海岸は、相模川という大きな河川が流れ込む場所に位置することもあり、海洋からだけではなく、内陸部からのさまざまな送り物(贈り物?)も流れ着きます。それは、流木や木の実などの自然物だけなく、お盆のお供え物や藁で編んだ精霊馬といった地域の伝統的な文化や風習を垣間見せてくれます。
 
また残念なことに、人間の営みに関わりのある生活物資やその痕跡物も潮流や川の流れに乗ってやってきます。いわゆる”漂流ゴミ”です。環境汚染や生物の営みに影響を及ぼすやっかいな漂流物なので、決して好ましいものではありませんが、商品パッケージやボトルなどから新製品の発売やトレンドが見えたり、タイムマシーンで運んできたかのような、懐かしいデザインの空き缶やキャラクターグッズに出会ったりと、思いもよらぬ気づきや過去を思い出させるスイッチの役目を果たすこともあります。
 

地域の伝統行事やカルチャーを垣間見る漂着物たちの一部、精霊馬・ホームサイズ・懐かしのヒーロー

 

“ゆる~い感じ”で

浜辺を散歩しながら、さまざまな”漂着物たち”に勝手な物語や妄想を広げる。そんな私の海岸散歩での偶然の出会いのお話しを写真とともに、ゆる~い感じで不定期にお届けしたいと思います。
 

渚の風景やさまざまな漂着物の写真も本文と併せてお楽しみください




 

サトウ ヒデキ テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)
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