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美馬 弘宜 NOMLABの人
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ミュージアムリニューアル、その先に向けて ~徳島県立博物館常設展を振り返る~

2021/11/12
2021年8月にリニューアルオープンした徳島県立博物館 常設展。私は4K・VRやAR等のXRなどを活用した参加体験型展示、海外からの利用者への多言語化、障がい者が音声や手話で案内を受け取れるガイドシステムなどを担当させていただきました。

展示リニューアルに加え、4K・XRなどの技術が取り入れられていることがオープン前から地元メディアに大きく取りあげられたことにより、大盛況でのオープンを迎えました。

今回、オープンから2か月を経た感想を徳島県立博物館 長谷川賢二副館長にインタビューを行いました。リニューアルのその先に向けてのご意見をお伺いした対談記録を報告したいと思います。

※徳島県立博物館常設展 リニューアルの実績はこちらをご確認ください。
 


乃村工藝社 美馬弘宜(左) / 徳島県立博物館 長谷川副館長(右)



美馬:リニューアルオープンを迎えて率直な感想をいただけますでしょうか。

長谷川:リニューアルという以上、お客様に変わったという印象を与えたいと思っていましたが、「ここまで変わると思っていませんでした」「なんといってもよくなったね!」という声が多いのがよかったです。これらの声をもらえるようにと進めてきたし、うまくいったと思っていますよ。

 

徳島県立博物館 常設展
(リニューアル前の展示数は約4,500点だったが、今回は約6,200点と1.4倍になった)


美馬:他にお客様の反応はどうでしたか。

長谷川:「お腹いっぱい」という言葉も貰いました。何度も訪れてもらえる博物館を目指していたのですが、資料を多く展示することができましたし、グラフィックやコンテンツもうまく取り入れて演出の力が成しえたことは大きいだと思っていますよ。そういう意味でお客様にとって「飽きない博物館」にできたのでしょうか。

美馬:話は変わりますが、30年ぶりにリニューアルを迎えて、当時と今を見るとメディアや教育環境が変わっていく中、博物館自体がどういう風に変わっていくことが使命といえますか。

長谷川:博物館の基本的な役割はよい資料をどれだけたくさん見てもらえるかということだと思っています。地方の博物館の場合、その土地に根差した資料は集まっていますよね。手を変え、品を変え、ご覧いただいて、地域の価値をもう一度見直してもらうことが根底にあると思っています。
 
インタビュー中の様子
 

長谷川:基本的には展示物とグラフィックで補完説明する関係性が変わるわけではないですが、
時代の変化の中で、スマートフォン端末はじめ、人が持っている道具がずいぶん変わったと思っています。日常の延長の中に博物館もスマホを活用してもらうことで親しんでもらいたいという期待はありました。各種の映像もそうですね。
 
 
恐竜ARなどスマホを取り入れた施策も話題となった
 

美馬:もともとの展示との比較はどう思われますか。

長谷川:元々の展示があまりにも映像やハンズオンなどの 仕掛けが少なすぎたので、
今回ある種の五感を使った体験は必要だと言えますね。
基本を生かした体験というのは変わっていく必要があるし、お客様のタイプも変わってきているから、それらを踏まえて進める必要があると思っていますよ。

美馬:最後に何をもってこのリニューアルを成功とするかどうか、についてお考えはありますか。

長谷川:今回のリニューアルはこれで終わりではいけない。「第一段階」だと思っています。その意味では大成功だと思っています。先ほども言いましたが、過去を知っているお客様たちに「めちゃくちゃ変わった!よくなった!」と一様に褒めてもらえています。「ボリュームはあるけど、飽きない。変化がある。」これが大事ですね。
 


徳島県立博物館 長谷川副館長
 

美馬:今後に向けてはなにか考えていることはありますか。

長谷川:次の段階に向けて、長期的に変化を作っていくこと、さらに前進することを考えたいですね。
ケースの中を入れ替えたとしても気づかない。さあどうするか?
他にも、映像自体も見直しをしていかないといけないですね。効果を検証して流動的に切り替えていくことが大事だと考えます。AR・VRについてももっと新しいものが出てくるだろうし、とにかく陳腐化しないように追っていく必要があると考えます。
まだいい答えを持ち合わせてはいませんが、試行錯誤しながら、次はどう変化を作っていくのかが、博物館の仕事だと思っていますよ。

美馬:担当させていただいた案件のオープン後の状況、また今後の課題や展望をお伺いできる時間はとても貴重でした。引き続きよろしくお願いいたします。

長谷川:ありがとうございました。
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