nomlog

NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
岡本 悠雅 社会をオモシロくする企画屋
社会をオモシロくする企画屋

プランナー、水族館へ行く。

2020/04/23

お久しぶりです。
ネタ探しプランナーの岡本悠雅(オカモトユウガ)です。

皆さんは、水族館はお好きですか?
実は、水族館のお仕事も幅広く手掛けさせていただいている乃村工藝社。
そんな水族館業務のご提案にも、我々プランナーはコンセプト作りから展示の見せ方、体験ストーリーの企画など、様々な部分で携わらせていただいていることが非常に多いです。

そんな中、乃村工藝社きっての水族館プランナーであり、このノムログで最多更新回数を誇る佐藤英樹さん(以降:ヒデキさん)と、入社3年目で、最近水族館業務に関わり始めた若手のフレッシュなプランナー榊遼平さん(以降:サカキくん)が、「男2人で東北の水族館をめぐる」という何とも奇妙なネタを聞きつけ、しれっと同行させていただくことができました!
なので今回は、ヒデキサカキユウガによる「みちのく水族館旅」の様子をレポートさせていただきたいと思います!
(※訪問日は2019年12月2日です。)

仙台うみの杜水族館

まず訪れたのは「仙台うみの杜水族館」

あら、楽しそう。本当に仲が良さそうで何よりです。やはり水族館好き同士、波長が合うのでしょうか。

実はこの水族館、我々乃村工藝社が携わらせていただいた場所の一つで、ヒデキさんが展示環境や体験展示のプランニングを担当された水族館なのです!
せっかくなので3人で水族館をゆっくり歩きながら、ヒデキさんにこの施設のポイントを伺ってみました!

 

コンセプトに込めた思い

入館するとまず迎えてくれるのは、象徴的なエントランス空間

サカキ
水族館では珍しい、木をふんだんに使ったエントランスですね。
この施設はどういったコンセプトをもとに作られたんですか??

ヒデキ
コンセプトは「人と海」。
3.11の東日本大震災後に誕生したこの水族館では、海と人々との暮らしやそのつながりを再認識きるような施設を目指したんだ。震災による津波被害の影響で、海にマイナスなイメージを抱いてしまった方々も少なくなかったからね。
だから通常、水族館の内装ではあまり使わない木を使ったデザインで、温か味のある雰囲気を感じられるように、そして、地域への復興支援となるよう宮城県産材の使用を提案したんだ。
単にいきものや海の中の環境を展示コンテンツとして扱うだけではなく、「この地、三陸地方ならではの海とつながる人々の生活」をも実感してもらうことを展示体験のテーマとして、プランニングを進めたんだよ。

サカキ
なるほど。コンセプトを社会背景から生み出すことで、よりメッセージ性の強い施設になりそうですね。
しかも、そのメッセージはこの場所だからこそ発信できるもの。プランニングにおいて、とても重要な要素ですね。
 

「人と海」を見せるために

いきなり現れたのは視界いっぱいに広がる大水槽

世の中にこれほど「大水槽の似合う人間」がいるでしょうか。
2人のシルエットは驚くほど様になっており、水族館のシーンとして完成されていました。さすが水族館プランナー。
にしても榊くん、スタイルいいな君。

そして実はこの大水槽、写真にもあるように上の階からも見られるような順路づくりがされていて、様々な目線の高さで水槽全体を楽しむことができました。


ユウガ
プライベートではほとんど水族館にはいかないのですが、来てみるととてもワクワクしますね。
空間全体において来館者の期待感などを演出するために、工夫したところはありますか?

ヒデキ
実は設計の段階で、クライアント側からあえて次の展示エリアが見えないような作りにしたいという建築設計への要望があったと聞いている。「次のエリアはどんな空間なんだろう!」という来館者の期待感を高めながら歩を進めてもらうのが狙いなんだけど、空間を繋ぐ細い通路や入り組んだ動線で先が見えない建築レイアウトに加えて、展示体験においても各エリアのテーマにちなんだ体験性になるよう、異なる様々な展示手法を計画していったんだよ。



ユウガ
無意識に歩いていたけど、そんなところにまで工夫が行き届いているんですね!

ヒデキ
あと、デザインの話になってしまうけど、床壁天井の色や素材はノムラのデザイナーが建築設計チームと一緒になってこだわり選び抜いたんだ。
それだけを見ると分かりにくいけど、少し引いて見るとカーペットや壁の色も空間全体を演出する要素になっていることがわかると思うよ。



ユウガ
確かに、砂っぽいカーペットや木で作られた小屋など、世界観づくりの大きな役割を果たしていますね!
小さなお客様が、ハイハイで展示を見ていたのが印象的でした。他の水族館では見られない、この木を基調とした落ち着いたデザインのエリアならではの光景だと思いました。



ヒデキ
小さなお客様にもちゃんと想いは届いているみたいだね(笑)

 

水族館における展示のあり方

ペンギンと会話をするサカキくん

サカキ
僕は水族館が大好きで普段からよく行っているのですが、水族館によって展示の方法や環境演出の仕方がいろいろあって本当に面白いです。
この仙台うみの杜水族館も、展示の見せ方や環境演出で工夫された部分はありましたか?

ヒデキ
そこは、展示のテーマである『三陸地方の人との海のつながり』をどのように伝えていくか?だね。
水族館は、やはり海や水辺のいきものたちが主役で、それは飼育員の方々の担当分野。僕ら体験展示チームは、海にまつわる各地ならではの暮らしや環境を、いきものと一緒に知ってもらうための空間や体験性を考える。
だから、三陸海岸を青森から仙台まで南下する調査の旅に何度も足を運んだし、地域ごとにユウガじゃないけど“ネタ探し”もいっぱいやったよ(笑)。なかなか大変ではあったけどすごく楽しかった。それがあったからこそ生まれた工夫もたくさんあるんだ。

サカキ
具体的に伺ってもよいですか??

ヒデキ
水族館の展示としても珍しいホヤを主役にしたエリアでは、天井の水槽と一体感のある壁面グラフィックで海の中からホヤ養殖の様子を見ている気分になれる展示空間を計画した。
豊かな漁場である外洋のゾーンには『魚市場』を再現して地域復興に活かせるよう、各港の市場さんがプロモーション展開できる場を設けた。ちなみに、ここではセリの音声がBGMで流れるんだけど、この音や背景の写真は明け方に地元の市場で音録りと写真撮影を同時におこなった。前日に飛び込みで市場の責任者の方にロケの許可をもらってね(笑) 
他には、震災時のフランスとのカキ養殖のエピソードは是非紹介したかったし、水族館にデートで訪れるカップルのために現地コンテンツを活かした“縁結びの撮影スポット”を設置したりと、他にも色々…
生き物展示だけではない様々な工夫

サカキ
なるほど!どの工夫もしっかりとコンセプトを表していながら、さらに展示の中のアクセントにもなっていてとても面白いです。

 

つながりを体感してもらうために

なんか怪しい人がいますね
 
ユウガ
色々見ていく中で、この場所ならではの「海と人とのつながり」が展示を通して伝わってきて、とても興味深
いです。でも、「つながり」って展示で伝えるだけではどこか物足りないというか、「見る⇆見られる」の関係だけだと、どうしても他人事として捉えてしまいそうな気がします。
コンセプトで、最も大切な考え方でもある「つながり」の部分を、どうやって来場者の体験に落としこんだんですか?


ヒデキ
順路の中には、「暮らしや環境」を感じられる展示だけではなく、自分が展示の一部になってしまうような体験の要素も盛り込んだんだ。
例えば、干潟のいきものの視点で観察できる水槽とか、海の中を覗き込むと、そこで漁をする人たちに出会えるとか。この漁師さんたちとの出会いには、ちょっとした“サプライズ”と“想い出”を持ち帰ることのできる仕掛けを盛り込んだんだ。ユウガがさっき覗いてたやつね!笑
来館者に自らアクションをおこしてもらうことで、通常の観覧と違った発見や感動が生まれると思うんだ。
この「自らのアクション」というのを大事にしたいと思っている。だから、こうやって出来上がった展示を楽しんで体験してもらっている姿を見ると嬉しいね~。
 
遊び心と驚きのある様々な体験コンテンツ

ユウガ
なるほど!自分が展示の一部になることで、新たな楽しさや発見が生まれて少し展示を身近に感じることができました!
サカキくんも僕も、思わずはしゃいでしましました…2人とも海女さんになりきった気持ちでした!笑

 

プランナー目線の水族館とは

最後に若手とベテラン、2人の水族館プランナーに水族館におけるプランニングで大切にしているところを伺ってみました。

サカキ
水族館には、非日常な空間を楽しみたいお客さんから海のいきものそのものが好きなお客さんまで、様々な目的を持った人が訪れます。そこで私が大切にしているのは、訪れた人みんながその水族館のファンになってくれるシカケをつくることです。
仙台うみの杜水族館では、人と海のつながりを色々な体験を通じて「分かりやすく&ディープ」に伝えることが、幅広いお客さんがその水族館を好きになるきっかけづくりに繋がっていたのではないかと感じました。非常に勉強になりました。仙台うみの杜水族館の皆様、ありがとうございました!

ヒデキ
自分は子供の頃から水族館が大好きだった。
もちろん、今でも魚を観ることも、水の中にいるような空間で過ごす時間も大好きだ。水族館プランニングに関わるうえで、それが一番の原動力になっていると思う。
だから、何を大切にしているかと問われたら、『一水族館ファンとしての視点を忘れない』ということかもしれない。「自分本位だな」と思われてしまうかもしれないけれど、水族館で来館者に「何を見てもらい、何を感じて欲しいか?」というスタンスより、「こんなことを知りたい、体験したい!」や「こんな水族館があったらいいな!」という水族館ファンとしての気持ちに素直なアプローチの仕方が、自分らしいプランニングになっているのではないかと思います。



いやー、しれっと付き添いで行ったつもりが、水族館の様々な工夫や裏話が聞けてとても有意義な時間になりました。この仙台うみの杜水族館以外に、秋田の「男鹿水族館」にも伺ったので、そちらもまた次回記事にできたらと思います!
 

■うみの杜水族館 HP
 http://www.uminomori.jp/umino/

※ご注意
・リンク先のウェブサイトは、乃村工藝社のウェブサイトではなく、当社の管理下にはないものです。
・この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。
・ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
 最新のアドレスについては、ご自身でご確認ください。
・リンク先のウェブサイトについては、リンク先の組織・団体等にご確認ください。
・掲載日4月23日時点で、臨時休館中です。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

岡本 悠雅 社会をオモシロくする企画屋
社会をオモシロくする企画屋
ご意見/お問い合わせはこちら ※内容欄に担当者名をご記載ください
岡本 悠雅 の新着記事
の新着記事 MORE