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NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
冨永 荘次 活性化プランナー
活性化プランナー

トーキョー・サーキット

2020/05/29
東京に住む・働く・遊ぶ
東京の生活がながくなるとつくづく、“東京は成熟した、人をダメにする都市”だと感じます。それは、住む・働く・遊ぶの3点をむすぶトライアングルゾーンの行動範囲で満足できてしまうからです。「いや、もっと様々な街やスポットが都内にはあるだろう」と思われるかもしれませんが、筆者のライフログを見返してみても案外と行動範囲が狭いことが分かります。自宅や職場などの点が移動するたびに、トライアングルゾーン(行動範囲)が再設定されます。筆者は引っ越しの多い家庭だったので、そのたびに遊ぶ街も変わり、住む町の近くになりました。そのためトライアングルゾーン(行動範囲)は、直角三角形や鋭角三角形になっていたのです。
※筆者が考える「住む・働く・遊ぶの3点」をむすぶトライアングルゾーン(行動範囲)
※筆者が考える「住む・働く・遊ぶの3点」をむすぶトライアングルゾーン(行動範囲)
TOKYOの世界都市力
世界中から優秀な人材や観光客が集まる東京は、今後もテクノロジーやアート、ファッション、食、オリンピックなど常に話題に事欠かず世界中の人々を魅了し続け、様々な未来予測においても世界都市東京は今後もそのブランド力をグローバルに維持し続けると思います。
今後も都心部では、至る所で大規模再開発が行われ、渋谷は「エンタテイメントシティ」、新宿は「ターミナルシティ」、池袋は「劇場都市」など再開発により画一化しないための個性化が図られています。
東京・下町ルネッサンス
一方、都心部の大規模再開発とは異なるカタチで注目を集めているのが、東京の東側に位置する「下町エリア」です。
明治維新後、薩長土肥の武士が新たな支配者として居を構えたのが山の手であり、旧来の町人、つまり「江戸子」の町が下町である。江戸時代、山の手は武家、下町は町人であったものが山の手は官吏と軍人、下町は商人と職人の町へと変化していった。この住民の違いが、地域の気風を作り、一方のインテリ、他方の非インテリという相違を生んだ。下町の人は義理人情に厚く、気っぷがよく勇み肌。山の手は合理主義、個人主義的である 

※出典:『関東人と関西人: 二つの歴史、二つの文化』 樋口清之 PHP文庫

代表的な地域としては日本橋神田浅草本所深川などが挙げらますが、実際には人気の下町エリアやスポットはより広範囲で細分化されています。
ここで、東京の魅力のひとつとしての「下町ルネッサンス」がどのような変遷で起こったのか振り返ってみたいと思います。

※著者が考える下町イメージのあるエリア
※著者が考える下町イメージのあるエリア

簡単に、年代ごとの「下町エリア」のトピックスを整理しています。
 
2000年代:
日本橋・馬喰町・浅草橋界隈を中心にCET(セントラル・イースト・トーキョー)という、アーティストやクリエイターにより空き物件を活用して“新しい街“を作り出すムーブメントが起こりました。谷中・根津・千駄木エリアでは、昔ながらの町並み(路地)や新しい和雑貨店が点在するおでかけスポットとして「谷根千」という愛称で注目が集まり、雑誌等でも特集が組まれ始めたのです。
 
2010年代:
浅草エリアなどが観光地としてのA面だけでなく、新しいカフェやギャラリーなどが並ぶ「奥浅草」や「裏浅草」などの、街のB面(裏浅草や奥浅草)に注目が集まるようになり、若者達が週末に訪れるオシャレスポットのイメージが広がりました。
 
2012年:
墨田区に東京スカイツリータウンが開業すると、東京スカイツリーに世界中から人が集まり、料亭の残る花町向島、長屋の残る京島など周辺の下町文化にもスポットが当たるようになったのです。
 
2015年~:
「清澄白河」にブルーボトルコーヒーや「蔵前」にダンデライオンチョコレートなど、下町エリアが、世界中から日本の一号店出店エリアとして選ばれるようになりました。特に蔵前エリアは「東京のブルックリン」などと形容され、こだわりのカフェやレストランだけでなく、バックパッカー向けのホテルなども増え、外国人観光客だけでなく、都内の若者も集まりコミュニティが形成されています。
 
未来のTOKYOはサーキット(巡回)しながら楽しめる超成熟都市!?

東京の都心エリアは、これからも世界とリアルタイムにつながり「世界都市としての価値」を発信し続けます。下町エリアは、街の個性やスタイルが多様化し独自の「下町カルチャー」を発信し続けます。この両方の魅力を併せ持つ未来の「世界都市TOKYO」は、冒頭のトライアングルゾーン(行動範囲)を移動しながら絶え間なく変形させていくイメージで、住む・働く・遊ぶを常にホッピング(場所を固定せず移動し続ける)しながら楽しめる「サーキット(巡回)型アーバンライフ」が可能な超成熟都市となっていくのではないかと想像すると、これからの都市づくり、街づくりがとても楽しみでなりません。

新型コロナウィルスの影響を受けて、人々の生活様式や行動様式は変化をし続け、これからの都市づくり、街づくりにおいても様々な側面からアップデートが必要になってくるでしょう。
冨永 荘次 活性化プランナー
活性化プランナー
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