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NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
岡崎 広子 プランナー
プランナー

コロナで再定義される『リアルの普遍価値』

2020/08/07
5月末に緊急事態宣言が解かれてから早2ヶ月、都内感染者数は未だ増加に歯止めがかからない状況にあります。“withコロナ”を継続しながら、“ニューノーマル(新しい日常)”へと社会が変わろうとする中、働き方も含め、自身の価値観が日々変化していることを実感しております。
急速にデジタルシフトが進む中、我々の生業である集客の場づくりにおいて大切にすべき“リアルの普遍価値”とは何か、コロナ禍での消費に対する人々の価値観の変化を読み解きながら考えてみたいと思います。
 

1. デジタルシフトと消費の価値観

コロナ禍で数か月もの閉店を強いられた百貨店やショッピングセンターなど、リアルな商業の場に対する経済的打撃は大きく、今後もその影響が懸念されています。一方、eコマース(EC)の伸びしろは大きく、D2C(Direct to Consumer)やサブスクリプション、ライブコマースなどのサービス等、今後もデジタルシフトが加速すると言われています。
リアルとオンラインの使い分けや融合が進む中、人々の消費における価値観は何が重視されていくのか、日常・非日常的な消費行動の変化について考察してみました。
 

#日常的な消費:24時間いつでもどこでも買いたい時に買えること

2019年6月、Googleは一定の時間をかけて買いたい気持ちを醸成させる「カスタマージャーニー型」とは異なる「パルス型消費行動」へと移行していると、スマートフォン上で展開される様々なショッピングサービスの普及によるユーザーの購買行動の変化を提唱していました。
「パルス型消費行動」
“現代の日本人にとって、24時間すべてが買い物のタイミングであり、空き時間にスマホを操作しながら、瞬間的に買いたい気持ち(パルスの発生)になり、買いたいと思う商品を発見し、その瞬間に買い物を終わらせる”という消費行動

「ジャーニー型消費行動とパルス型消費行動」 (c)Google

これは従来の非日常的な買物行動における「衝動買い」とは異なり、日常的に消費する商品に対して起きている消費行動です。
日常的な消費とはいえ、日本では食品などの日用品はスーパーでまとめて購入するスタイルが主流であり、コロナ以前はスーパーマーケットや食品のECは発達しにくいと言われていました。
しかし、コロナ禍では多くのスーパーマーケットがECへの積極展開を進め、農家や産地から直接販売へと繋げる取り組みなども増えており、今後は中国や欧米同様、食分野でのデジタルシフトも一般化するのではないかと考えられます。ITリテラシーの世代間ギャップはあるものの、毎日夕飯の買い物をするような日本人特有の買い方自体も、今後は変化していくのかもしれません。

#非日常な消費:パーソナルな体験価値と時間消費

一方、必要品以外の購買において、オンラインではバーチャル空間の中で買い物ができる「バーチャル店舗」や、リアル店舗では貸し切りで自分だけが買い物できる「プライベートショッピング」など、コロナ禍での新たな購買体験のトライアルが進んでいます。
リアルとオンラインの融合や使い分けが進むと、固定の「買い場」や「時間」に一極集中せず分散化が可能となり、かつてはVIPのみが体験できたことも誰もが体験できるフラットな価値となっていくと考えられます。
ECでもリアルでも量産型のマニュアル対応ではなく、一人ひとりに寄り添う姿勢が求められるため、デジタルでも無機質感を埋める人間らしい繋がりやホスピタリティ感をいかに打ち出すかが、非日常的な消費に対する新たな鍵となるのではないでしょうか。
 

2. コロナを経て強まる新たな価値観

#共感消費

コロナ禍でSNS等での人々の反応をみていると、誠実さや社会正義などをより重視する傾向が強くなった様に思います。個人個人が受け身ではなく、能動的に行動することが重要で、分散化する小コミュニティであったネット社会の声も、共感で繋がると社会を変える勢いにもなりつつあることに、多くの人が気付いたからではないでしょうか。

コロナ禍のGoogle検索ワードデータをみてみると、「寄付」「クラウドファンディング」が、4月末から上昇し、5月に入ってピークを迎えていることがわかります。

検索動向「寄付」 (c)Google
  

検索動向「クラウドファンディング」 (c)Google
 
このデータには、コロナの影響を受け、クラウドファンディングを利用したい人と支援したい人の両者が反映していると考えられるものの、昨今のSNS等の状況からみてもこのような「共感」を新たな資本とするような動きが今後広まっていくのかもしれません。
また、この共感消費には自己犠牲を伴うボランティア的な消費というよりも、欲しいものを納得する方法で購入した結果、社会全体の利益に繋がっていたというような“FUN(圧倒的な楽しさ)”を伴う消費であることが、新たな普遍価値となっていくように感じます。
 

終わりに

「コロナ禍で“非日常”と“日常”が逆転すると、人々の価値観はどう変化するのか?」

#コロナを経て、リアルの価値は更に高まる!

今回、我々はコロナという世界共通課題を突き付けられたことで、急速にデジタルシフトすると共に、外出制限でこれまで当たり前だった“リアルの価値”を、一時的に奪われた状況にありました。

自分自身やそれを取り巻く状況を見直す時間が増えたことに加え、急にリアルが非日常になったからこそ、リアルへの飢えのような感覚から、同じ時空や感覚を共有し、直接共鳴しあえる喜びは、よりかけがえのないものだと実感できたのではないでしょうか。

自身の価値観の変化も踏まえると、コロナ以前で当たり前だったことが、逆に非日常感を煽るものへと変化したように感じます。テレワーク自体がまだ“非日常”だと感じていた数か月前は、オンライン飲みなどの非リアルでの交流も新鮮さを感じられ、まだ楽しめていたのかもしれません。しかし、それも今振り返れば、リアルで会えないからこその希少価値だったように思います。
テレワークが常態化し、リアルで集うことが引き続き制限される状況が続くと、これまでのような一定の「場所」や「時間」などへの一極集中は減少すると考えられます。

リアル集客を中心としてきた「場」の価値は分散化することで高まると期待し、顧客とのエンゲージメント(心の繋がり)と、代替えできないリアルならではの体験性を普遍価値に進化させていくことが重要だと改めて感じています。

また、共感消費、エシカル消費はいずれもコロナ禍で初めて起こった真新しい価値観ではありませんが、コロナ禍においてより一般化した印象にあります。
企業におけるSDGsも実装フェーズと言われていますが、欲求と消費が無限ループする「消費社会」から、「共感」をベースとした新たな社会を、商業を軸としても目指すことができたら、都心vs地方といった格差のないフラットな社会が目指せるのかもしれません。

引き続き、コロナで変わりゆくニューノーマルな社会を見据えながら、これからの商業空間に相応しいリアルの普遍価値を追求していきたいと思います。
岡崎 広子 プランナー
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