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岡崎 広子 プランナー
プランナー

新・空間歳時記をつくる Vol.2 オンライン夏合宿で一体感は醸成されるか - 考察編 - 

2020/11/05
ノムログ編集部オリジナル企画、「新・歳時記をつくる」。

夏企画は「オンライン夏合宿」を開催し、企画編、体験編では、「オンラインで一体感は醸成されるのか」にフォーカスして書いてきました。
考察編では、春よりも進化した企画として「夏合宿」をオンラインで行い成功させるには、どんな点に留意したのか、編集会議を通じて事前に議論してきた部分からご紹介したいと思います。

過去の記事は以下。
【Vol.1】オンラインお花見(企画・体験編/考察編
【Vol.2】オンライン夏合宿(企画編/体験編
 

なぜ、オンラインで夏合宿を行ったのか?

ノムログは、8月に1周年を迎えましたが、コロナ禍ではリアルに集う周年イベントを開催することができませんでした。
春に次ぐ進化した企画として、密にならない夏らしい企画を編集部内で検討した結果、この1年の振り返りを「夏合宿」と称して、オンラインで行うことになりました。

春企画「オンライン花見」より進化させるには、何に留意すべきか?

まず、そもそもの合宿を成功させるにあたり、以下のポイントに着目しました。

#合宿を行うにあたり、MIT元教授ダニエル・キム氏の「成功循環」に着目

ダニエル・キム氏 の提唱する「成功循環」
“組織やチームで合宿する意味は日ごろ業務に追われるなかで、チームビルディングの「成功循環」をつくるため、集中したり・立ち止まる時間を設けて、4つの質(関係・思考・行動・結果)を高めることにある。” 参考:HUMAN VALUE / 成功の循環


「関係性の質」と「思考の質」を両方行うには2日を要するため、「関係性の質」は導入部分と、休憩タイムで深めることとし、合宿中の会議では「思考の質」をメインにフォーカスすることにしました。

しかし、オンライン上で「思考の質」を高めるには、リアルとは異なる環境の整備が必要でした。
リアルであれば、自然豊かな場所に行くだけで、蝉の声を聴きながら会議をし、夜は花火を見ながら乾杯・・・なんてことができたかもしれませんが、オンラインでの環境は普段と変わりません。

オンラインでも日常を離れた感を創出し、会議でのクリエイティブな思考を活性化させるために、合宿のスケジュール構成から綿密に準備・計画を行いました。

#1日の合宿のスケジュールを「緩・急」の2軸で構成

「緩」・・・導入部・休憩タイム
「感覚の共有」⇒「関係性の質」の向上
*オンラインで一体感を醸成させるため、感覚を共有できるコンテンツを各部員が事前に用意
 オンライン会議ツール上でトライアルできる範囲とし、3つの感覚(嗅覚・聴覚・味覚)でチーム分け
(詳細は体験編へ)


「急」・・・“真面目に”会議タイム
「事前のKPI設定」⇒「思考の質」の向上
*オンライン夏合宿の会議内容・目的を事前に設定し、当日の会議に挑む
 ノムログ1周年を機に振り返り、うまくいったところや改善点を見える化し、翌年に向けて取り組むべき
 ことを考え、活動ポイントを共有

この「緩・急」を交互に挟むことで、導入部と休憩タイムでは、合宿所で一緒にいるような距離感の近さを感じる状況が生まれ、真面目な会議タイムは活発な意見が飛び交いました。
集中モードと雑談モードが自然に切り替わることが、長時間のオンラインで繋がっても、さほど疲れず、真面目に楽しい合宿となったポイントだと感じました。
 

メンバーの考察にみる今後の課題

体験編での「オンライン夏合宿」のポイントを踏まえ、メンバーの考察からみえた今後の課題を整理しました。

夏合宿のPOINT:「時間・空間デザイン」 × 「感覚の共有」

五感以上の感覚を自然に共有できるリアルとは異なり、オンラインでは聴覚・視覚の共有として、背景画面の映像、音(BGM)などオンライン環境(空間)のデザインが必要になります。
緩急つけて、余韻を感じられるよう合宿全体の流れ(時間)をデザインし、更には味覚や嗅覚など+αの感覚の共有で、意図的に「一体感の創出」にトライアルし、春合宿以上に自然なコミュニケーションへと近づくことができました。
<メンバーのコメント>
・同じものを食べ、同じ香りを嗅ぐことにより、それぞれが重なり合うように感想を言い合う場面が生まれ、
 同じ空間にいるような感じを持った
・“背景画像が昼・室内・夕方・屋外と変わっていくだけでも、時間の流れを共有した 
・味覚とBGMなどの聴覚を共有したのは一体感の醸成につながった
・“ゆるくないマジメな時間” の過ごし方が、体験のリアリティに繋がった
・ “緊張と緩和のスケジューリング” が夏合宿の実感に繋がっていた

今後の課題:「偶発性の創出」

リアルではさほど準備をせずとも自然な対話、雑談などが生まれますが、全員が同じ画面に集中するオンラインでは、予定調和に陥りがちかと思われます。
今回も事前準備にかなり時間を要しましたが、さほど準備をせずともオンライン上の共通意識や慣れることで自然な対話に近づく「偶発性」は生まれるのでしょうか。

次回以降の課題として、引き続き検討してみたいと思います。

今後の可能性 「5G時代のキーワード」

【5G時代の3つのキーワード】

どんなに計画的に事前準備を行ったとしても、オンラインでの円滑なコミュニケーションには「快適な通信環境」が基本となります。
今回もPC、ネットワーク状況により、一部、音声や映像のスムーズな共有ができない場面もありましたが、今後5G技術が整備されていくと、オンライン上でのストレスもさらに緩和され、より自然なコミュニケーションへと近づくことができるかもしれません。

それぞれの体験を「シェア」した春合宿から、「共有」を重視した夏合宿。

個性の表現を「シェア」する時代から、全員が同じ方向を向いて「同時に」「同じ体験を」「同じように」体験する欲求が、高まっていることを感じました。
 

最後に

長引くコロナの影響で、オンライン慣れしてきた昨今ではありますが、まだまだリアルでのコミュニケーション感覚に引っ張られる部分は誰にでもあるのではないでしょうか。

一般的なオンライン会議ツールでは、リアルのコミュニケーションよりも得られる感覚が限定されます。
リアルとオンラインを単純比較すること自体、あまり意味のないことかもしれませんが、オンラインでのコミュニケーションには、今までリアルでは意識しなかった能力や工夫が必要になってくるように思います。

その一要素を紐解いてみようと、編集部企画ではオンラインならではの「感覚の共有」へのトライアルを行ってきました。一部の感覚を意図的にでも共有してみると、一体感を感じられ、自然なコミュニケーションに近づくことがわかりました。
そして、オンラインが続く環境下で研ぎ澄まされるべき感覚は、リアル以上に相手に配慮する感覚「共感力」なのではないかとも感じました。

今年から始まった「ノムログ編集部員オリジナル企画 新・空間歳時記」ですが、いざ開催しようとした矢先のコロナ・・・結果的に、春・夏企画とオンライン開催となりましたが、「リアルの価値」を高めることを生業にしてきた編集部員の意識や感覚が、コロナ禍の気付きにより深まっている状況にあります。
次回、秋・冬編でまた一歩進んだ視点を加え、進化したノムログ編集部企画をお届けできればと思います。

変化に富んだ一年の集大成として、どんな締めくくりができるか、ご期待ください!
 
岡崎 広子 プランナー
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