今年で4年目を迎えたDESIGNART TOKYOもオンラインでのトークセッションや展示を交えた
New Normalスタイルで開催しています。
「POWER TO THE CREATIVES」をテーマに、文化を再起動するための取組みと位置づけた本年。
展示とリアルな空間の結びつきにフォーカスし、後編は10月27日にオープンした表参道ヒルズと六本木エリアの展示をレポートします。
(前編はこちら)
原点回帰を思わせるプロダクト展示
表参道ヒルズB3F「Space O」で出迎えてくれたのは、ソーシャルデザインイノベーションをテーマに活動するデザインファーム「NOSIGNER」によるソーシャルディスタンスを意識させる仕掛け。受付カウンターに向かって一定の距離を取った地点に音符が描かれていて、その上に乗ると上部のスピーカーから音が。「列を待つ人たちによって音楽を奏でる」という素敵な発想のおもてなしです。
飲料用の紙パックを再利用した照明器具、木・石・土といった素材本来の魅力を活かしたプロダクトの数々が印象的でした。
AaaM Architects
DAZINGFEELSGOOD
Pim Sudhikam
drill / nottuo
その中でもひときわ目を惹いた作品は、香港を拠点に活躍するデザインユニット「Batten and Kamp」による「On Stone and Sky」。シンプルな構成の金属椅子の座面を支える石の力強さが自然の生命力を感じさせてくれます。
カスタマイズできる照明
AXISギャラリーで展示を行っていたのは、昨年も取り上げたM&Tの作品。ひとつは紐の中に仕込まれたLEDが発光する照明器具で、細長い筒に収納されたパーツを使って自分で組み立てることができます。
もう一点はレンズのように搾りを自分で調節する照明。自分好みの灯りを調整できるとステイホームの時間も楽しくなりそうです。
アーティストと二人三脚で歩むギャラリー
次に訪れたのは西麻布のギャラリー「A Lighthouse called Kanata」です。長年、南青山に構えていた「酉福ギャラリー」が、宿泊施設をリニューアルしたビル「霞町テラス」に新たな拠点を移し、今年秋にオープンしたばかり。オープニングセレモニーとしての作品展示が行われていました。
エレベーターを降りると、目の前に重厚な扉にさりげなくギャラリーの名前が。扉が開くと、薄暗い中にそれぞれのアート作品が宙に浮いているような、凛とした佇まいの美しい空間が広がります。
気になる作品を鑑賞していると、ギャラリストの方が作品の生まれた経緯について、アーティストとオーナーのやりとりを交えてお話してくださいました。こちらのギャラリーでは、アーティストと「二人三脚で歩む」ことをテーマにされていて、アーティストが持ち込んだ作品をもとに、「どのように発展させていくか」を一緒に考え、制作していくスタンスだそうです。
展示空間デザインの美しさだけでなく、「アートの未来を支える存在」を目指した、高い志を感じられるギャラリーです。
六本木の過去・現在・未来を感じるギャラリー
続いて訪れたのは、こちらも今年オープンしたばかりの「ANB TOKYO」。今話題のノンアルコールバー「0%」が入居するビルに小さな扉があり、階段を上るとレセプションがあります。
4フロアで展開する展示は、それぞれ別々のキュレーターがテーマを設定していて、エレベーターを降りる度に、まったく違う世界を楽しむことができました。
展示の手法も雑多に床置きしたものから、一般的には隠してしまうバックヤード空間を活用したものなど、バラエティに富んでいます。
こちらは一般財団法人東京アートアクセラレーションが運営するギャラリーで、2階から7階までのビルをリノベーションしています。躯体をむき出しのまま活用したありのままの空間に展示物が加わることでさまざまな表情に変容するところが、六本木の街を象徴しているように感じます。
新しいイベントのカタチを提示してくれたDESIGNART TOKYO 2020。来年もどのような新しい視点が見られるのか、今からとても楽しみです。
DESIGNART TOKYO 2020 情報
http://designart.jp/designarttokyo2020/
会期:2020年10月23日(金) 〜11月3日(火・祝)
会場:表参道・外苑前 / 原宿・明治神宮前 / 渋谷 / 代官山 / 六本木 / 新宿 / 銀座
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会
*会期は終了しています。
*ご注意ください*
本記事で掲載している展示会およびリンク先のウェブサイトの情報は、当ページ作成時点のものです。
変更されることがありますので、ご了承ください。
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