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サトウ ヒデキ テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)
テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)

新・空間歳時記をつくる Vol.3 秋のイベント -準備編 -

2020/12/24

前回のお話し 

来たるノムログ編集部主催の『新・空間歳時記・ 秋のイベント』は、[お月見】で行こう!
と、編集会議の場で、机を「バン!」と叩いて熱のこもったプレゼンを行い(リモート会議だけど)、
10月の終わりの週末、イベント開催に先駆け西伊豆の海を見渡す丘で “おひとり様お月見” を実行したところまでが前回のお話でした。

※前回の記事はこちら→ 『新・空間歳時記をつくる【Vol.3】秋のイベント・予告編』
 

※岬に囲まれた内湾を見渡す丘で、月齢14.3(満月の前日)の月夜を過ごした。
 

【お月見】をひもとく 

そんな【お月見】の言い出しっぺであるワタシは、いつの間にか【お月見プロジェクト実行委員会】の最高責任者に任命されてしまったのですが(最高責任者といってもメンバーはワタシ1名だけ)、
「知識の面でも、もう少し【お月見】について知って理解を深めておこう!」と、張り切ってネットサーフィンでお気軽予習をすることにしたのです。昔はわざわざ図書館まで出かけて関係書籍を漁ったものですが、いや~便利な世の中になりましたな~。

そして、その予習結果を実行計画①として、参加メンバーにも共有できる参考資料を作成したのでした。

 
※ノムログ編集部員の面々にも知っておいてもらおうと、実行企画書のはじめに、自ら予習したお月見ネタを記述して情報共有。来たる【お月見イベント】に向けて、ススキや団子をお供えするワケや昔の人たちの楽しみ方を調べておいた。



【お月見】の代表格である“中秋の名月”こと 十五夜は、「中国からやってきた」というお話は前回の記事で紹介しました。日本では縄文時代から月を崇め愛でる風習はあったようですが、記録の上からは、平安時代の貞観年間(859~877年)に伝わり、貴族の間で広まったそうです。月を愛でながら酒を酌み交わし、船の上で詩歌や管弦に親しみ、水面や盃に映った月を楽しむなど、風流な催しであったことが当時の和歌などから窺い知れます

十五夜が庶民にも広く楽しまれるようになったのは江戸時代に入ってから。宴席の趣向というよりも、農耕にともなう収穫祭初穂祭の意味合いが大きかったといわれています。そのため、日本独自の【お月見】である十三夜十日夜などが生まれました。


また、十五夜・十三夜・十日夜の他にも、現在ではほとんど行われていない【月待ち】というお月見行事が日本各地あって、三日月や半月などの月齢によって異なる特定の形の月に意味を持たせてその月が昇るのを待ち、月の形をさまざまなものに見たてて崇拝するなどの風習が存在したそうです。


奇遇だったのですが、先日11/27にアップされた吉田雅之さんのノムログ記事の中に、代表的な【月待ち】のひとつである 二十三夜待ち が登場しています。(ノムログの記事としては珍しい“ものがたり”の体裁をとった素敵な記事です。個人的に吉田さんの次回作をとても楽しみにしています!)
※吉田さんの記事はこちら→ 『フィールドワーク酔夢譚』           


また、乃村工藝社本社のあるお台場の対岸あたりに位置する高輪界隈では、“江戸時代の夏フェス”ともいわれる 二十六夜待ち の行事が大々的に行われ、月の出が良く見える東向きの海沿いには屋台や露店が並び、海上には屋形船や小舟がひしめき、花火が打ち上がるなど、それはそれは大勢の老若男女で夜通し賑わったそうです。 歌川広重の『東都名所高輪廿六夜待遊興之図」(←クリックすると絵が観られますなど、二十六夜待ちを描いた多くの浮世絵がその様子を今に伝えています。


二十六夜待ちは、月光の中にありがたい三尊(阿弥陀・観音・勢至)が現れ、これを拝む行事だったものが、この時季、真夜中に月が昇り始めるため、次第に月が出る深夜まで夜遊びをする行事にとって変わっていったといいます。なんだか、本来の意義であった生誕祭からお楽しみ行事へとすり替わったクリスマス(教徒以外の)に通じるものを感じませんか?

 

【お月見】を計画する

一言で【お月見】と言っても、季節や月齢によってさまざまな【お月見】があることがわかりました。
八百萬の神の概念を持ち、古代から稲作をはじめとした農耕や漁などを通じて、自然と関わりながら生活をしてきた日本人にとって、月の出のタイミングや満ち欠けで季節や時の移ろいを計り、潮の干満を知るなど、現代のワタシたちよりずっと月が暮らしに密着した存在だったことが推測でできます。


夜だって、今のように明るい照明器具がなく火の灯に頼っていた時代には、闇夜を照らす月光はとてもありがたい存在であり、特に満月は神秘的で、神々しい輝きを放つ存在として崇められていたのだろうということも、月明りに照らされながら西伊豆の夜を2晩過ごした経験から実感することができました。


さまざまな【お月見】があること、また過去にあったことは、個人的に新たな発見でしたが、どの【お月見】にも共通して言えるポイントは、「キレイなお月様を眺めながら、親しい人たちと交流を計る行事なのだな」ということです。


今回の『新・空間歳時記』で開催する秋のイベントに関しては、春の【オンラインお花見】や夏の【オンライン夏合宿】のように、オンラインイベントの可能性を探るために【仮説・実証・考察】といった段階を追って検証する実験的な対象としてではなく、「もっとライトに日本文化を現代にマッチしたスタイルで楽しもう!」をテーマとしていました。

そのため、【お月見プロジェクト実行委員会】の最高責任者であるワタシは、
「キレイなお月様を眺めながら、親しい人たちと交流を計ること」をベースとした計画に加え、普段あまり意識することのない“月”にスポットを当てながら、「それぞれの人の心や想い出の中に在る、さまざまな月が見られたら面白いな」という想いから、実行計画書②では、イベント内容の草案をまとめ、前回の編集会議の時よりもさらに強く机を「ズドン!」と叩いて提案をはじめたのでした。(繰り返しますが、リモート会議です)

 
※草案は、観/食・楽・映/酒の3部構成。温故知新を取り入れながらオンラインでも出来るイベントを計画してみた。


もちろん、今回のイベントも新型コロナ感染防止策を念頭に、オンラインでの開催を基軸としながら、3密を回避できる屋外でのリアル開催を並行した“ハイブリッド案”でライブ感を取り入れることも試みることにします。

その上で、草案のポイントは以下の3つとしました

1.正統なお月見スタイルの踏襲(観/食)

●【お月見】の3種の神器ともいえる、ススキ・お団子・お月様を揃えし、満月を鑑賞して愛でる。
   【夏合宿】のときのように、オンライン画面の背景画像のビジュアルを上手く活用する。
     お団子は中国のお月見で食べる月餅にあやかったという説もあるので、日持ちするそちらでもOK!

2.さまざまな月を楽しむ(楽)

●『MOON SHOT GALLERY』→ 各人が撮影した月の写真にエピソードを添えてオンラインで披露する
●『LUNA TALK』→ 月にちなめばなんでもOKの月ネタを持ち寄って紹介する。
 

3.風流に、月を肴に一杯!(映/酒)

●平安時代の貴族になった気分でお酒を楽しむ。できれば、盃に月を映した【月見酒】をやってみたい! 
●せっかくのなので、お酒は月の文字が名前に入っているモノを探し、当日に飲む。
※計画上、平日開催ですが、イベントスタートが終業後の時間なので飲酒OKということに。
 

以上の実行計画草案にて、参加メンバーであるノムログ編集部員たちに説明をしたところ、最高責任者のアイデアに、誰一人として異議を唱える者はおらず、各自が、月の写真や月ネタ、そして、イベント時にいただく月餅月の名がつくお酒を用意して、当日を迎えようということになったのです。



実行予定日は、各メンバーが参加でき、次の満月の夜となる、2020年11月30日(月)に決まりました。
もしこの日が雨天や曇天などで、お月様が見られない天候となり延期となった場合、翌日はもう師走、すでに12月となり、「その場合はもう“秋のイベント”とは言えなくなってしまうじゃん!」というハラハラドキドキの崖っぷちスケジューリングなのでした。


果たして当日の夜、まん丸お月様は姿を見せてくれるのでしょうか?!
続きは次回の記事で!(次号はいつになるんだろう? )


※参考HP 
【お月見やお供え】「四季の美」https://shikinobi.com/juugoya 
【月待ち】「婦人画報」https://www.fujingaho.jp/culture/traditional/a57661/moon-171004/

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絶賛連載中! 『ヒデキのゆるゆる渚歩記』 back number はこちら!     
 ep6「コロナ禍の浜辺」  ep5「漂着ゴミ図鑑」 ep4「いきもの図鑑」 ep3「自然感察眼」
 ep2「ボトルメッセージ ep1「海岸ミュージアム」
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