空間と体験の可能性を追求する乃村工藝社のオウンドメディアnomlog(ノムログ)。
中野 史洋 イモムシプランナー
イモムシプランナー

「おもい」は同じ。学芸員からプランナーへ

2020/12/11
こんにちは。イモムシプランナー中野です。なぜイモムシなのか…。そう、私は昆虫が大好きだからです。と申しますのも、私は乃村工藝社のプランナーになる前、大学で昆虫学を学び、その後佐賀県立宇宙科学館で学芸員として勤務しておりました。ある時は野山をかけまわり、ある時はアフロを被ってサイエンスショーを披露する日々。そんな私が学芸員⇒プランナーへと転身したきっかけと、科学館学芸員のリアルなお仕事内容を、自身の経験をもとにご紹介したいと思います。
大学時代に研究していたイモムシ。エサの好き嫌いをしないイモムシなので、農家の方々からは“害虫”と呼ばれることも・・・。
でも飼育していると愛着が湧いてきます。

 
 

乃村工藝社が運営するミュージアム

突然ですが、みなさんは「指定管理者制度」をご存じですか?
指定管理者制度とは、旧来の管理委託制度が変更されたもので、民間団体(民間企業・特殊法人・NPO法人・地域団体等)を指定管理者として、公の施設の管理を代行させることができるというものです。民間事業者のノウハウや経営手法の活用ができたり、利用者に合わせたきめ細やかなサービスの提供で来館者の満足度が向上するなどのメリットが期待されています。
私が5年間勤めていた佐賀県立宇宙科学館も上記の制度を利用し、乃村工藝社が管理・運営を行っています。
ちなみに乃村工藝社では現在15館の施設運営を行っており、現場で出た意見や運営で培った知見を設計に活かしています。(2020年12月現在)
佐賀県立宇宙科学館の外観。森の中にある秘密基地のようです。
 

学芸員からプランナーへ

「なぜ学芸員からプランナーになったのか?」
きっかけは、2015年のリニューアル。学芸員としてリニューアル事業に関わり、意見をぶつけ合いながら展示を作り上げていく過程と出来上がった空間の完成度の高さに魅力を感じ、もっと展示づくりに関わりたい!という思いが募って今に至ります。

そもそも「学芸員」って?

学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた、博物館におかれる専門的職員です。[文化庁ホームページより]
博物館法に定められた“博物館”には、美術館・天文台・科学館・動物園・水族館・植物園など様々なジャンルが含まれます。“博物館”というと限定的ですが、“ミュージアム”と捉えるとイメージしやすいですね。
つまり、同じ“学芸員”であっても博物館のジャンルや学芸員自身が学んできた専門分野、あるいは担当部署によって、そのキャラクターは全く異なるのです。
 
※ノムログでは乃村工藝社のプランナー、下國さんと堀井さんが、奈良国立博物館の学芸員の方と対談された記事も掲載していますので、
 ぜひこちらもご覧ください!下國由貴さん執筆の記事はこちら、堀井麻央さん執筆の記事はこちら(前編後編
 

科学館は、とことん手作り!

館によって様々な特徴がありますが、科学館の学芸員は教育普及を得意としている施設が多いように思います。科学の原理をどう面白くかつ分かりやすく伝えるか・・・日々来館者と接しながら発信し続けています。
その成果に触れることができるのが、企画展や特別展、サイエンスショー、ワークショップ追求など各種イベントです。
佐賀県立宇宙科学館では、上記のようなあらゆるイベントが手作りで、学芸員自らが展示物を製作・運営し、来館者の反応を見ながら徐々に展示を進化させていました。
 
例えば、毎年開催の「ビーコロ展」では学芸員自らがアイデアを練り、材料を集め装置を製作。手作りですので企画展期間中に装置が壊れることも多々ありますが、学芸員が現場ですぐにメンテナンスできるというメリットもあります。
 
イベントを考案した科学系担当チーム(通称:サイエンスチーム)
毎年製作しているビーコロ装置はストーリー性が高く、来館者に大人気。
 ※残念ながら今年のイベントはコロナで見送りに。一方でSNSやホームページなどの動画配信で科学の魅力を伝えています!


開催に向けて出番を待っていた装置達たち (開催情報については館のHPをご覧ください。)
 

展示物がないなら採集に行けばいいじゃない!

生物担当チーム(通称:佐賀チーム)も負けていません。展示やワークショップの企画が決まると即座に展示する生体や材料を集めに佐賀県内を駆け巡ります。時には真夜中に雨が降る中カエルを探しに出かけたり、海の中に潜ってクラゲや魚を捕まえたり・・・私も何度か同行させてもらいましたが、体力の凄さもさることながら、生物や化石を探し出す嗅覚がメチャメチャ鋭い・・・。科学館では生物担当のスペシャリスト達のお仕事や生き物の話が聞けるワークショップがありますよ!(※2020年12月現在 ワークショップは時期によって内容が変わりますのでHPをご覧ください!)
現佐賀チームの皆さん。生物や化石のスペシャリストです!
 

毎日満天の星空に会える!

サイエンスチームと佐賀チーム、そして忘れてはならないのが、
宇宙・天文系のチーム(通称:スペースチーム)。毎日のプラネタリウムの上映のほか、土曜の夜には天文台で生の星を観察することができます。
ここで注目したい手作りのものが、天体観望会スタンプラリー、見た天体のスタンプを押して約一年間でコンプリートできるものですが、ハンコも学芸員の手作り、このスタンプラリーが人気で、野望篇もあるんだとか・・・。
現スペースチームの皆さん。土曜の夜はプラネタリウムの星々と共に学芸員の癒しボイスが聴けます!
 

学校の授業とは違う学びのアプローチ

より多くの人に学びを提供する・より多くの方に来館いただくことはとても重要。民間ならではの柔軟な発想は、これからのミュージアムの可能性を大きく拡げていくものだと考えます。乃村工藝社が指定管理者になって、「アイデアを形にしやすくなった」と当時の上司から聞いたことがあります。以前は「学び」の内容に重点を置かれており、固い内容のサイエンスショーやワークショップが多かったそうですが、乃村工藝社に変わってからはエンターテインメント性も重視し、アイデアがあればまずは形にしてお客さんの反応を見てみようという流れができたそうです。今ではその経験をもとに、学校の授業とは違うアプローチで学びを提供し、来館者の増加にもつながっているようです。
 
学芸員もプランナーも想いは同じ。ミュージアムだからこそ得られる学びや感動の体験を一人でも多くの方に提供することです。
 
ミュージアムを現場で支えている魅力的な「人」とタッグを組み、来館者一人一人にその施設でしか味わえない学びや感動を提供することを目指して、これからもプランナーとしてミュージアムづくりに努めていきます!


佐賀県立宇宙科学館の渡辺館長。最近YouTuberデビューされたそうです。
※Youtubeチャンネル「館長の展示紹介」はこちら

もちろん忘れてはならないのが、学芸員だけでなく、館長、統括マネージャーをはじめ、企画・広報部のスタッフや経営管理部のスタッフ、アテンダントスタッフ、警備スタッフ、清掃スタッフ、ボランティアスタッフ・・・「人」がミュージアムをつくっていると信じています。次回ミュージアムを訪れる機会があれば、展示はもちろん、「人」にも注目してみてくださいね!
写真提供:佐賀県立宇宙科学館
photo by Daiki Kitada
中野 史洋 イモムシプランナー
イモムシプランナー
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