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NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
野田 裕暉 オープンプランナー
オープンプランナー

モノを売らないみせづくりとその可能性 /住友生命「Vitality」プラザ有楽町店

2020/12/23

竹原ピストルさんのCMソング「よー、そこの若いの」で注目を集め、最近は芸人のバナナマンさんがCMを担当していることでお馴染みの健康増進型保険“住友生命「Vitality」”。

様々な方法で認知拡大を進める同ブランドでは、現実世界におけるお客様とのタッチポイントづくりとして[住友生命「Vitality」プラザ]という名称のリアル店舗を新宿・柏の葉・有楽町に3店舗構えています。(実は、その3店舗の企画・設計・施工を乃村工藝社でサポートさせて頂きました。)

生命保険はカタチのない商品であるため、一般的な保険ショップでは、商品説明用のパンフレットがまず目に飛び込んでくるように設置されているケースが殆どです。一方でこのプラザはVitalityの世界観を体験してもらう店舗となるため、一般的なプランニングとは異なるアプローチが必要となりました。
今回は、3店舗の中で最も新しく2020年6月にオープンした有楽町店の見どころの紹介と、店長様へのインタビューを通じて「Vitalityが好きになる場所」をコンセプトに、店舗をオープンしてからの約3か月間の取り組みを振り返ります。

EC市場の急成長や競争の激化等、店舗を取り巻く環境は変化し続けています。モノの販路が複雑化した時代におけるリアル店舗の価値とは?明確な答えのない問いを考える上で本プロジェクトの視点が重要なヒントになると考え、これまでの経緯と今後のリアル店舗の在り方をまとめてみました。

まずは店舗紹介からです!

①    空間づくりを通じて訴求する、新しいブランドイメージの浸透

@Nacasa & Partners Inc.
 
住友生命「Vitality」プラザ有楽町店は、JR有楽町駅の銀座口を出て右手にあるLUMINE STREETを歩いて数秒、みどりの窓口の隣に位置しています。
この店舗では「保険のご契約手続きを行う場所」ではなく、「Vitalityが好きになる場所」をつくりたいというクライアントの想いを受けて、世間一般的な保険ショップのコンセプトから逸脱し、販売色を出来る限り抑えたデザインを目指しました。

店舗のエントランスはシンプルな木目調で構成されており、スタイリッシュかつ温かみを感じることができます。店内空間は相談窓口を空間の中心に据えることにより、開放的でお客様が来店しやすい空間を目指しました。
 

②    Vitalityらしい!ブランドを表現する魅せる空間

@Nacasa & Partners Inc.

店舗のデザインコンセプトは「GARDEN」×「LIVING」です。外との一体感を感じるナチュラルかつアクティブな要素と、親しみを感じるリビングのようなアットホームな要素の2つの要素を共存させることで、大きな庭がある住まいのように店舗へ多くの人を招き入れる空間をデザインしています。

また、写真右側にある本棚の書籍はブックコーディネーターの山本尚毅氏に御協力頂き、 “スポーツ”や“行動変容”をキーワードにしたVitalityの基本理念である健康増進に繋がるような書籍をセレクトしています。店舗を構成する細部にもこだわることでブランドらしさが直感的に感じられる店舗を目指しました。 


現在、店舗のエントランスではブランドカラーの赤が映える什器にVitalityと提携するスポーツブランドやスマートウォッチをディスプレイして、お客様をお迎えしています。
 

③    保険とヒトがつながる。きっかけづくりのデザイン

  @ハラペコ inc.

店内空間は個室ブース型のシェアオフィスが配置されたワークスペースや、隣接する「みどりの窓口」と自由に行き来が可能になっています。目的が異なるお客様の動線をオープンな店舗空間とつなぐことで、目に見えない「保険」という商品とお客様の距離が自然に近づくような空間を目指しました。

また店舗の中には自身の健康状態を意識してもらうキッカケづくりとして、簡単に血圧や血管年齢を調べることのできる体験型のコンテンツがあります。

 

早速、弊社デザイナーが体験型コンテンツを利用して血管年齢を調べたところ、その得点は100点満点中34点。。。!
 
本人はかなり凹んでいましたが、自分の健康状態がわかりやすく点数化されるとジブンゴト化しやすく、健康管理について考えるキッカケになりますね!


後半は「モノを売らない」という、従来型の路面店とは一線を画す店舗の運営面に注目。有楽町店の最前線でご活躍される住友生命「Vitality」プラザの八巻店長に、店舗のリアルな現状やこれからのビジョンについてお伺いし、体験型店舗の可能性について考えていきたいと思います。
コロナ禍での店舗の集客状況は?

野田:
本日はよろしくお願いします。
店舗開業から早くも3か月が経ちますが、店舗の集客状況は如何ですか。

八巻:
こちらこそ本日はよろしくお願いします。
集客についてですが、そもそも店舗の開業自体が新型コロナウイルスの影響で遅れてしまうなど、オープン前後は様々なトラブルがありました。ですが、夏頃からは徐々に店舗の認知が高まってきているように感じます。
例えば、店舗の前を通りがかったお客様が陳列しているデバイスを気にされて来店したり、弊社職員がシェアオフィスとして利用したり、お客さまとのアポイントメントで活用する等、様々な利用シーンが見受けられますね。

 
野田:
なるほど、今年は新型コロナウイルスの影響で空間創造・活性化を掲げる弊社も非常に難しい時期を過ごしましたが、このようなリアルな集客に関するポジティブなお話が聞けたことは素直に嬉しいです。
 
コラボレーションで生まれる相乗効果とは?

野田:
今回の店舗では「コラボレーション」をテーマに、シームレスな空間づくりや様々なコンテンツ連動を一緒に企画させていただきましたが、その効果を店舗運営の中でも感じることはありますか。

八巻:
来店されるお客様の利用目的に多様性があるため、コラボレーションの効果を感じることがあります。店舗が開放的なこともあって、様々な年代のお客様がふらっと立ち寄っていただけますね。
また、ブース型のシェアオフィスサービスは予約で満席になることもあるので、予約時間前に来店されたワーカーの方に、体験型コンテンツをお勧めすることからコミュニケーションをとらせて頂くこともありますし、近隣のリペアショップと連携して相互に送客することにより、立ち寄って頂くお客さまも出てきています。
あとコラボレーションとは関係ないですが、店舗の什器が移動可能なので、オープン後の状況に合わせて試行錯誤しながら柔軟にレイアウト変更ができたのもよかったです。
@Nacasa & Partners Inc.

野田: 
なるほど。空間だけでなく、運営面でも「コラボレーション」を大事にされているということですね。
店舗のインテリアについては、クライアント様から店舗を実験的な場と位置付けて色々なことを試せる場所にしたいとの想いを聞いていました。そこで、店舗内部で身体を動かすようなアクティブなイベントも想定し、コンパクトに収納できる家具や移動可能な什器で色味の統一感も意識しながら空間全体を構成しています。
人と人のコミュニケーションが、ブランド認知を高める

野田:
それでは最後に、店長の視点から見た店舗の魅力と今後のビジョンについて教えてください。

八巻:
店舗の魅力については大きく2つあると感じています。
1つ目はお客様とブランドとの距離が近くなったことです。店舗は年中無休で営業しているため、お客様はいつでも気軽に来店できます。お客様が自由にブランドとアクセスできるリアルなタッチポイントができたことは、エンゲージメント向上(健康増進意識が高まること)につながると考えています。例えば、コンビニエンスストアも年中無休の店舗が多く、「いつでも気軽に来店できる」という親しみやすさがお客様に伝わっているのではないかなと思います。また、店舗では保険のご契約を目的としていませんので、再来店いただけるお客さまが結構いらっしゃいます。
2つ目は営業職員のサポート面です。店舗を利用した当社職員からは、お客様との商談からサテライトワークまで幅広く利用できる使いやすさと、落ち着いた雰囲気の中でお客様とお話ができる場所の希少性を高く評価してもらっています。また、安心というのもご時世柄1つのキーワードであると考えておりまして、ソーシャルディスタンス、予防については考え得る万全の対策を講じております。

私の想いとしては、リアル店舗を通じて少しでもVitalityを知っていただけるきっかけになり、より身近な存在として認知が深まるように努めていきたいと思っています。

 

野田:
仰る通りですね。認知の接点づくりとつながりづくりはリアル店舗の強みだと思います。
今日の話を聞きながら、我々もつくるのは空間というカタチのあるものですが、その空間がどのように利用されるのかをユーザー視点で捉えながらヒト・モノ・コトのコミュニケーションのキッカケとつながりというカタチのないデザインの重要性を改めて感じました。住友生命「Vitality」を通じたコミュニケーションが盛り上がるように、我々もリアルな空間創造・活性化についてこれからも一緒に考えていきたいと思っています。本日は貴重な時間を頂き、本当にありがとうございました。
 

住友生命「Vitality」プラザにお立ち寄りください!

  インタビュー集合写真
住友生命保険相互会社 山本様 / 店舗スタッフ(左から1番目)、八巻様 / 店長(左から2番目)、
北見様 / 店舗スタッフ(右から1番目)
乃村工藝社 町田/デザイナー(右から2番目)、野田/プランナー(右から3番目)

販売ではなく、コミュニケーションに重きを置く住友生命「Vitality」プラザ有楽町店はモノを売らない店舗として、今後も様々な取り組みを実験的に行いながらお客様とコミュニケーションしていく予定です。
「百聞は一見に如かず」という諺もありますが、リアルな空間だからこそ伝わるメッセージや深まるコミュニケーションはお店に行ってみないと体験することができません。
有楽町駅からのアクセス性も良いので、近くに来た際には是非お店にお立ち寄りください!!

最後になりましたが、住友生命「Vitality」プラザ有楽町店の八巻店長をはじめとするスタッフの皆様、今回のインタビューへのご協力ありがとうございました!
 

店舗概要
住友生命「Vitality」プラザ有楽町店
住所:〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-9-6
営業時間:月曜~日曜11:00~19:00
定休日:年末年始を除き原則年中無休
地図:

 
*住友生命「Vitality」プラザ各店舗の情報については下記URLより専用HPをご確認ください。
https://vitality.sumitomolife.co.jp/plaza/ 


*ご注意ください*
本記事で掲載している店舗およびリンク先のウェブサイトの情報は、当ページ作成時点のものです。変更されることがありますので、ご了承ください。
インタビュー日:2020年9月9日

 
野田 裕暉 オープンプランナー
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