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NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
村上 萌 コミュニケーションプランナー
コミュニケーションプランナー

新型コロナで中国から帰ってきたら、より中国のことが見えてきた。

2021/04/21

今のところ、乃村工藝社グループで唯一の
海外(中国)駐在プランナー

 
初めまして。村上萌、32歳です。
年齢は、記事を読む人にとってイメージしやすいかなと思いお伝えしています。

入社した時は大阪事業所で働いていました。
その後東京本社へ転勤を経て、30歳で中国・上海に飛び
乃村工藝社のグループ会社である『乃村北京建築設計有限公司(以後、乃村北京とする)』に出向しました。
 
上海赴任のきっかけは、
中華料理が好きすぎる&とりあえず海外で働きたい、というまっすぐな気持ち(?)で転勤を希望。
乃村北京は北京・上海・深圳・成都に拠点を持ち、その上海支社に約2年間駐在していましたが、
2020年2月に新型コロナウィルスの影響で帰国、そのまま帰任(東京本社)となってしまいました。


大好きな上海蟹


もっと長く中国で活躍したかったのでとても残念ですが、
2年間という時間で感じたことは、今日本で仕事する上でも重要な気付きがたくさんありました。
 
今回は、その中でも感じた「日本と中国における“企画”という仕事の違い」をご紹介しようと思います。
少しでも中国での仕事や企画という仕事に興味を持っていただけると幸いです。
 
※あくまで「乃村工藝社のプランナー」としての視点であることをご了承くださいませ
 

中国から帰ってきて感じた、企画の仕事内容の中国と日本との違い

中国でプランナーは求められているのか?!

中国でのプランナーの役割は、ズバリ開発業務です。

“開発”というのは、未開拓の顧客に対して当社の魅力をご説明(ソリューション営業活動)し、
仕事を生み出すことです。
コンペティション形式で、他社と提案内容を競って選ばれ獲得する仕事も“開発”と言えるかもしれません。
 
私は入社したときから企業PR施設や展示会を主とした企画業務を担当してきましたが、
中国ではこれまで関わった“企画”という枠を超えて考えることが多く感じました。

なぜなら中国には“企画”という業務はかなり少なく、
「企画業務が行うことの意味」からお伝えし、理解いただくところから始める機会が度々ありました。

乃村北京建築設計有限公司 会社案内2020より
 
“企画”以前に、もっと手前から不透明な場面もありました。

不動産開発をしている企業のショールームの依頼が来た際にも、顧客から
「ショールームって、どういうステップを経て出来るの?企画って何するの?イメージ沸かないんだけど…」
と言われたことがあり、役割や業務内容から丁寧に説明する機会もありました。

その甲斐あってか、「乃村工藝社に頼むと何でも相談に乗ってくれる」というポジションにつながり、
対等な関係性で仕事を進めることができています。

業界が違えば、仕事の進め方は分からないことの方が多いと思います。
もしかしたら日本のクライアントも同じく、不透明なまま進んでいるケースもあるかもしれません。

顧客の不安を拭うことから始める、というのは国が違えど、仕事を進める上で常に重要なことですよね。

提案するには、前のめりに顧客から情報を引き出すべし!

新たな業務が始まるとき、必ず“与件”があります。
広告デザイン業界用語辞典によると、

“与件”とは『与えられた条件のことを言う。広告業界にあてはめると、案件スタート時に提示される「前提として存在する条件」や「踏まえなければならない障害」などを言う』

とあります。
例えば、納期や予算はもちろん、つくりたい施設の目的や、そこで伝えたいことなども含まれます。
 
国内で当社が関わる案件は、上記のような情報を大体顧客からあらかじめ情報としてもらい、
企画提案に進めます。

しかし、私が2年間関わった様々な分野の顧客(不動産系・交通系・食品系・小売り系など)は、
いずれもあらかじめ与えられる情報は少ない企業がほとんどでした。

ある大きな駅構内の商業区画リニューアル案件では、
「工事範囲は未定、テナントも未定、今のテナント売上げもない、
でも今よりもっと売上げが伸びる提案をしてほしい!」
というなんとも難易度の高いリクエストをいただきました。笑
 
このようなときは、新規案件をヒアリングする調査力も重要です。

教えてくださらないなら、ガンガンどんどん聞く。
分からないことが多い仕事は時に辞退することも検討する。

自明のことですが、「中国だから仕方ない」という捉え方をしすぎるとこちらの首が絞まります。
最初は一般的な選択肢を提案していくことで切り抜けて、徐々に考えていることを引き出す手法も効果的でした。
 

イメージ重視!絵ができるまでのスピード感

“企画”というフェーズの重要性を理解してくれたものの、やはりイメージの力は偉大です。

ここで言うイメージとはCG・手描きパースのことですが、
コンセプトや方向性が決まっていないうちから求められることが多かったです。
※パースとは、“Perspective Drawing”の略で、空間の構造物の外観や内部を一定の図法で立体的に表現した図のこと

初回打ち合わせで「パースは?」と言われることもしばしば。
 
これまでは、すぐデザイン!どんどん形にしてナンボ!という進め方をしてきた企業側は、
企画部分(コンセプトや展示のストーリー)が大切なことは理解しながらも、
すぐにイメージが出てこないとヤキモキされているようでした。
文字や言葉だけでは想像しにくい部分があったのだと思います。

それをふまえて、企画部分でも想像しやすいように、
イメージ写真やイラストを使った表現を含めて提案することが増えました。
 
一方国内の仕事では、むしろすぐにイメージを出すと
「ちゃんと中身を考えてからイメージに進みたい」と戻されることもあるほどですが、
中国では具体的なイメージをざっくりと持ちながら中身の芯から詰めていく同時進行が重要に感じます。

企画とデザインも一緒に進め、常にソフトとハードがセットで積みあがっていくのです。

だから中国では完成までのスピードが速いのかもしれません!

この仕事、本当に必要?を事前確認

日本での施工は、
「こんなところまで丁寧にこだわってやっている」という、徹底した質の高さ、
のような部分に誇りを持っているところがあると思います。

ただ、悲しいかなそこまで気にかけてくれない人がいると、
“丁寧さ”や“こだわり”は伝わらず、過剰なおせっかい、という風になってしまいます。
 
上海のレストランや商業施設を見ても、施工に粗がある施設も見かけますがパッと見はあまり気になりません。
決して粗があっても良い、という意味ではなく、
万人が“丁寧さ”や“こだわり”に価値を感じるわけではないということが見えた気がします。

ということは、日本と同じ価値感覚で売ったとしても買ってもらえないことがある、ということです。
 
なので、最初に金額と成果物のレベルを決めて顧客と合意する必要があります。
企画も同じで、
「乃村工藝社は企画フェーズで考え、提案するのはここまでやります。
なのでこの金額になります。了承いただけますか?」
というやり取りです。

このように先方が求めているレベルと、成果物を適確にすり合わせることが
とても大切だな、と実感しています。 

この期間で完成なんて、絶対無理!が完成できる勢い

これはもう周知の事実だと思いますが、モノができるスピードが本当に早いです。

これは施工スピードだけでなく、展示内容や設計図を決めて、描くスビードも早いです。
 
ある家電メーカーから
「4か月で2000㎡のショールームの企画・設計・施工して納品してほしい」
という依頼がありました。
規模も大きく新たな試みでもあり、魅力的な仕事だったのですが、
どうやってもスケジュールと金額が合わずお断りしてしまいました。

しかしその後、別の中国企業はこれを遂行し、4か月後に本当に完成したのです!

施設内容はとにかく、本当に決めたことを絶対完成できる突破力や勢いは、
中国の成長を表していると思います。
 

そして今、日本での企画業務の可能性と野望 

私個人としての感想ですが、もはやノムラが手掛けた国内の実績は、
どんな仕事も既に“日本”というブランド以外でも評価される時代になったように思います。

中国の有名企業の方々は、日本で様々な物件を視察しよく見に来られています。
そこで直接体験・体感された上で、これまでの実績や成果を評価して依頼が来ることが多いように感じました。

 
私は日本に帰任しましたが、今でも多くの中国案件に携わっています。
企業コミュニケーション施設や商業施設計画、科学館など幅広く中国に関わることで、
引き続き中国業務の実績を重ねていきます。

個人的な野望は、
果てしない中華料理への欲望の元、中国の現地の食品メーカーのブランド施設に企画から携わることです。
中華料理の新たな可能性を世界へ発信できるような仕事に携わることを狙って…

まだまだ中国、追いかけますよ!

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