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NOMLAB : NOMLAB(ノムラボ)は乃村工藝社の空間のプランナーを中心としたプロ集団ですNomura Open Innovation LAB
堀井 麻央 科学プランナー
科学プランナー

展示プランナーとめぐる、フータの博物館

2020/06/04
外出自粛の初春が過ぎ、そろそろ梅雨になろうかという頃ですが、
ついに東京でも少しずつ自粛緩和となってきましたね。
家の中はもうコリゴリ!という人もいれば、意外とステイホームを楽しんでる人もいたりして…
かく言う私も、最近何年かぶりにゲーム機を買ったのもあり、
まだまだ家をエンジョイできるな~という感じです。
そしてもっぱらのマイブームは、そう…「あつまれ どうぶつの森」です。
 
マイブームどころか世界的に大ブームとなっている「あつまれ どうぶつの森」
魚釣りや虫捕りをしたり、家具集めをしたりなど、森の中で動物たちとスローライフを楽しむゲームです。
実はこれ、メトロポリタン美術館等のアート業界や、
マーク・ジェイコブスヴァレンティノといったファッション業界など、
異分野が続々参入しており、ますますの盛り上がりを見せているのです。
 
そんな中、少し前から巷で話題となっているのが、シリーズでは毎回おなじみの“フータの博物館”。
集めた魚や虫、化石を展示してくれるゲームの中の博物館で、
フータというフクロウのキャラクターが学芸員です。
今作では、その展示空間が超絶ステキにパワーアップしているとの噂…
これは、現実の博物館の展示プランニングをしている私としても見逃せないゾ、ということで、
 展示空間や演出という視点から、フータ学芸員ご自慢の博物館を体験してみたいと思います。

進化の歴史を再現した展示構成がすごい!

化石エリアの入り口です

フータの博物館では、化石が進化系統順に配置されています。
入口の床にも系統樹のグラフィックと映像演出が施されており、
ワクワク感と共に奥へと誘われる仕掛けになっているようです。
展示を作るときには、化石や標本もさることながら、こういう演出をどうするかかなり悩みます。
このステキな演出を見る限り、フータはかなりの手練れと見えます。
 
アメリカ自然史博物館。エリアをまたいで系統順に配置、床に黒で線も引かれています

現実にある国立科学博物館の系統広場の展示に似ているなんてことも言われていますが、
私はアメリカ自然史博物館の恐竜ゾーンにも近いな~なんて思ったりもしました。
また、化石を寄贈すると聞けるフータの解説も、年代を付け加えてくれています。
展示構成に連動しているのでしょうか?さすが学芸員です。
 
隕石が空間を斜めに突っ切って落下する構成です

恐竜を語る上で欠かせない巨大隕石の衝突も、天高の高い空間を目いっぱい使って表現されています。
視点切り替えも機能もステキ!ぜひご覧あれ。

ユーザーを博物館体験に取り込む展示演出がすごい!

左から動物たちの影が並んでいます

どうぶつの森に住む動物たち。どのキャラがカワイイとか考えるのも楽しいですが、
なんとここでは進化系統順にシルエットが並べられています。
過去シリーズを知っている人からしたら、なんだか新鮮ですね…
系統樹の最後は人類。もちろんそこには自分がハマります。
来館者を体験に取り込む展示演出に感服です。

随所に再現された展示空間のディテールがすごい!

(左上)案内サイン(左下)休憩スペース(右)配線、ガラリ、消防設備、点検口など

ゾーンの境目にはきっちりと案内サインが設けられています。
アイコンイラスト付きで、来館者に分かりやすい親切設計です。
電気設備や消防設備等もきっちりと取り付けられており、法律を順守している(?)ようです。
また、ソファや休憩スペースも、展示空間には欠かせません。博物館疲れなどもありますしね。

現実には難しい、ゲームだからこその夢のような生態展示…


虫ゾーンには、明るい空間に飛び交う、チョウの楽園が。
現実にはシンガポールの空港にチョウ園がありますが、こんなにバサバサ飛んではくれないですよね。

また、このひょうたん水槽もものすごい透明度で美しいです。
こんなに歪みもなく透明に見える水槽、現実に作ろうとしたらかなり苦労しそうです。

過去作からの展示大進化。“陳列”から“展示”へ


「どうぶつの森」過去作では、四角い展示ステージに化石が陳列しているのが博物館でした。
これも悪くはないけれど、今作では“展示演出”の試みがよりパワーアップしている感じがします。
また、展示物(虫、魚、化石)それぞれの特性に合わせて展示空間も大胆に差別化されていますね。
アッパレ!

おねがいフータ!もっとこうしてほしいなぁ…


とはいえ、展示プランナーとしては、
こんなにすごいものを見せられると「もっともっと!」と思ってしまいます。
「展示を自分流に動かしてアレンジしたい!」とか、
「植物も寄贈したい!(せっかく頑張って交配したから…)」とか、
「参加体験型の展示が欲しい!」とか…。
強欲ですね。反省します。

♦ ♦ ♦

作品を重ねるごとに進化するフータの博物館は、
そのまま現実の博物館観の広がりを反映しているとも言えるかもしれません。
裏を返せば、フータの博物館で「もっとこうしたい!」と思うことは、
リアルな博物館体験でもまだまだ足りないところなのかも…
博物館は、見るだけではない本物の体験へ、より一層の精進の必要ありと、
家でゲームをしながら、褌を締め直すのでございました…


おわり

 
堀井 麻央 科学プランナー
科学プランナー
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